Artist's commentary
干物作り
毎年春の終わり頃には、各地の野生ゆの群れで干物作りが本格的に始まる。
これから夏にかけて訪れる梅雨や台風によって
長期間狩りに行けない日が続いても、恐るべき餓えに悩まされなくなるための
欠かせない仕事である。
作業は主にありす種やぱちゅりー種など、あまり狩りが得意でないものたちが担当する。
れいむ種やみょん、ちぇん等群れの主戦力が狩りに出かけている間、
彼女達はい草や蔓で縄を何本も綯い、それを風通しのよい低木の枝などに結わえ付ける。
そして家畜の中で特に体格がよいまりさを見繕うと、それらを先ほどの縄に縛り付けて
吊るして干すのである。
もちろん、そのまま吊るしたのではあにゃるからうんうんとして
大事な餡子が零れてしまうので尻穴は事前に小石を詰めるなどして塞いでおくのが常識だ。
運のよい群れであれば、多少の食料や一晩の宿と引き換えに
作業をもこう種に代行してもらえることもあるらしい。
このようにして作られた干しまりさ達は後に各家庭に配られ、
雨天時など家から出られない時の大事な保存食となる。
ちなみに、そのまま食べると当然舌が肥えるので普通は泥と混ぜたり、各家庭で
備蓄しているにがにがの草と混ぜて摂取する。
これは別に干しまりさに限らず、普段から配給されるまりちゃの食べ方も同様である。
唯一の欠点は『ぶん殴っても体当たりしても反応がないのでつまらん』というところであり、
そのため長雨の後などにはしばらく群れのまりさ牧場に長蛇の列が出来るようだ。
これもまた風物詩。