
https://www.pixiv.net/artworks/76143507
Title: キャプション必読
A wasa Reimyu was taking it easy with she herself and everything around her: her mother Reimu, her working slave (and father) Marisa, her boring big sis Maricha who only plays the role of making wasa Reimyu herself stand out, worms, flowers, and her cardboard villa.
One day she was singing with her mother in the back alley they were living. Wasa thought that she was the diva of the yuniverse.
Her father Marisa and big sis Maricha warned them about the potential danger, but wasa and Reimu scolded back. The Marisas' left the alley.
The mother and daughter kept singing. Attracted by the ugly singing voice, a cat attacked them and ripped the mother Reimu into pieces. Wasa planned to escape but was attacked as well.
After picking some wild grass from the river bank, the Marichas' started to return.
Maricha complained and didn't want to go home. Marisa was thinking the same, but she didn't want to give up the living place yet, because the emergency stairs above shield all the rain, and the alley is too cramped that human cannot enter. She asked Maricha to put up with it for a little bit more.
Suddenly, they smelled the stench of death. Overwhelmed by fear, they stepped into the alley and found Reimu's tattered corpse.
Maricha vomited, and Marisa stuffed the pastes back into her mouth. After that, Marisa put Maricha into her hat so she will not develop anti-yukkuritis upon seeing the corpse.
Marisa searched for wasa Reimyu's dead body, but in vain. She shouted desperately and finally heard the answer from inside the cardboard box.
Upon hearing her father's voice, wasa Reimyu rushed out of the box to reunite with her father, happily.
But Marisa's crying face froze unexpectedly.
It turned out that the cat's attack didn't hurt wasa Reimyu at all; instead her ribbon was torn by the attack.
For yukkuris, a yukkuri with torn accessory is even more degenerated than the filthiest beasts.
Now the wasa Reimyu swapped the family position with her father, whom wasa Reimyu once thought was merely a slave.
わされいみゅはこの世の春を謳歌していた。
姫たる自ゆん。その母れいむ。働き者の奴隷(兼父親)のまりさ。自ゆんを引き立てるためだけに存在している冴えない姉。イモムシにミミズ、ダンゴムシ、野花といったごちそう。そして段ボールの豪邸。最高にゆっくりした暮らし。世界はわされいみゅをゆっくりさせるために存在しているのだと信じ、疑いもしなかった。
「おちびちゃん、おうたをうたおうね! ぼえ~♪」
「ぼぇ~ぼぼぇ~♪」
わされいみゅのお気に入りは母とのデュエットだった。聖なる歌声が奇跡のハーモニーを奏で、路地裏に響き渡る。家族にしか聴かせないなんてもったいない。世界一ゆっくりしたれいむ母娘の歌声を、もっとたっくさんのゆっくりやクソ人間に披露してあげたいと、わされいみゅは常々考えていた。だってれいみゅは宇宙の歌姫なのだから。
「おちび、おかしなことをかんがえるんじゃないのぜ。ぜったいにろじうらからでちゃだめなのぜ」
「しょーだじぇ、いもーちょ。しずかにおるしゅばんしなくちゃ……」
父子の忠告を遮ったのは、わされいみゅとれいむの怒号だった。
「ゆはあああ!? うりゅっしゃいよおおお!」
「どれいたちはだまっててね! れいむとおちびちゃんがうたってるところでしょおお!?」
「しにぇ! ぐじゅ、かしゅ、くしょどりぇい! しゃっしゃとごはんしゃんとっちぇこいいい!」
わされいみゅは貧弱な語彙を駆使して実の父と姉を罵った。まりさとまりちゃは顔を見合わせ、深い溜め息をついて、路地裏を出ていった。
「まったくもう! じゃまがはいったね!」
「ゆっくちぷんぷん! れいみゅ、まだうたいたいよ!」
「ゆんゆん、じゃまものはきえたよ! さ、おうたのつづきをうたおうね!」
「ゆんぼぇ~♪ ぼぇ~♪」
濁った歌声が再び路地に反響する。静かに慎ましく暮らしていれば、わされいみゅがひとゆ立ちし、幸せになる未来もあったかもしれない。しかし、そうはならなかった。れいむとわされいみゅの喧しい歌声は、招かれざる客を呼び寄せた。
「にゃ~ご」
「ゆ? ……ねっねねねねこさんだああぁああ!?」
巨躯を誇るれいむを上回るずんぐりした体躯。長く伸びた爪、鋭い牙。現れたのは、この一帯を縄張りとするボス猫だった。
「ゆ、ねこしゃん?」
わされいみゅは猫について知らなかった。母体の餡子から継承した記憶の中には確かに猫についての知識が含まれていたが、そんなゆっくりしていない情報は、とうにうんうんとして排泄していた。
「れいむはにげ……ゆぎゃあああっ! あぎゃあああ!!」
ボス猫はまず背中を見せた母れいむに飛びかかった。4本の爪が饅頭の柔肌を切り裂く。皮膚が、髪の毛が、リボンが、餡子が、何度も何度も飛び散った。
「ゆぎ……やべ……! おぢびぢゃ……、だ、だじゅげで……」
母れいむはまたたく間にボロ雑巾のようになった。それは喧嘩とすら呼べない、あまりに一方的な殺戮だった。
「おきゃーしゃ? どーしちゃにょ?」
眼前で繰り広げられる惨劇。しかしわされいみゅは事態をうまく把握できていなかった。なにせ猫の動作は速すぎて、子ゆっくりの動体視力では、目で追うことすら叶わないのだ。
「おきゃーしゃあ、なんぢぇぼりょぼりょなにょ?」
「おぢ……び……ぢゃ……」
『もっとゆっくりしたかった』の言葉すら遺せずに母れいむは事切れた。濃厚な死臭を嗅いでやっと、れいみゅは自身に迫る危機を知覚した。
「ゆ……ゆんやぁぁぁぁ!!」
踵を返して跳ね出す。その動きは、悲劇的なまでにのろまだった。
「ゆっしょっと……きょうはこのへんできりあげるのぜ。おちび、おつかれさまなのぜ」
「ゆう……ちゅかりぇたのじぇ……」
河川敷で夕飯分の野草を摘み終え、まりさとまりちゃは帰路を辿る。2匹の顔には色濃い披露が浮かんでいた。れいむとわされいみゅに奴隷のごとき扱いを受け、気力も体力も限界だった。
「まりちゃ、おうちにかえりたくにゃいのじぇ……」
まりちゃがこぼした呟きに、父まりさの心は締め付けられる。まりさだって自ゆんを奴隷呼ばわりする妻子のいる場所になんて帰りたくないのだ。
しかし他におうちなどない。狭くて人間は入ることのできない路地裏。三方を壁に囲まれ、上空はビルの非常階段に遮られて、雨風に怯えなくていいおうち。あの住処以上の場所なんて今のこの街ではそうそう見つからない。行く宛もなく飛び出したところで、雨に降られて、あるいは人間の目について、命を散らすのが落ちだ。
「もうすこし……あとすこしのしんぼうっなのぜ。おちびがもうちょっとおおきくなったら、きっとおとーさんとふたゆで……」
──お父さんとふたゆでお引越ししよう。おうちを目前にそう言いかけたところで、まりさは死臭を嗅ぎ取った。かなり濃厚だ。すぐ近くでゆっくりが死んでいる。まりちゃも気付いたようで、「くちゃい……」と顔をしかめた。
「れいむ……?」
恐る恐る、路地にあんよを踏み入れる。まず目についたのは紫がかった黒のシミだった。地面に、壁に、大量の餡子が飛び散っている。真紅のリボンの切れ端とともに。
「そんな……」
れいむはズタズタに切り裂かれて死んでいた。背後で「ゆげえぇ」と声がした。振り返ると、まりちゃが嘔吐していた。まりさは咄嗟に吐瀉物を口に押し戻す。まりちゃは青ざめた顔で餡子を飲み下した。
まりさはまりちゃをおさげで抱き上げ、帽子の中に入れた。これ以上残酷な光景を見せたら非ゆっくり症を発症するおそれがある。ひとまず生きている我が子の安全確保が先決だ。
「ゆぁ、すえっこのおちびは……!」
そして気付く。末っ子のおちび、わされいみゅの死骸がない。
「おちび! どこなのぜ、おちび!」
まりさは必死でわされいみゅを呼んだ。奴隷扱いを受けていたとはいえ、それはれいむの横暴な振る舞いを真似ていただけだ。きっとまりさが教育し直せば、産まれた時のような、素直でかわいらしいおちびに戻ってくれる。そうしたら3ゆんでやり直せばいい。ゆっくりした家庭を築き直せばいいのだ。
「おちびぃっ!! いるのぜ!? おへんじするのぜ! おちび!!」
「ゅ……おとーしゃ……? おとーしゃああ!」
果たして、返事はあった。わされいみゅは生きていた。段ボールのおうちの中、小さくうずくまって、ガタガタ震えている。まりさは脱兎のごとく駆け寄った。
「おどーじゃああ! ゆぇええええん! ごわがっぢゃよおおおお!!」
わされいみゅもまた、おうちから飛び出してくる。ふたゆはひっしと抱き合い、再会を喜びあった。
「よかった……! おちび、けがは……」
けがはないのぜ? その言葉が最後まで紡がれることはなかった。まりさの顔からすとんと表情が抜け落ちる。安堵の涙で潤んでいた瞳が一瞬にして凍てつき、氷のような眼差しをわされいみゅに向けた。
「ゆ……おとーしゃ? どーしちゃにょ?」
大きな瞳で父を見上げ、かわいらしく小首を傾げるわされいみゅ。
彼女はまだ知らない。ボス猫によってリボンがズタボロに切り裂かれたこと。お飾りを欠損したゆっくりが畜生以下の扱いを受けること。奴隷扱いしていた父親達との立場が逆転したこと。
まりさの頬がゆっくりと歪んだ。